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ニューロダイバーシティとは?発達障害・多様性社会への切り札

はじめに

ニューロダイバーシティとは何かを簡単にわかりやすく解説しました。発達障害は、多様性社会の切り札になりうるのか。そもそも、発達障害って何?

目次

  1. ニューロダイバーシティとは
  2. 発達障害の人物
  3. 日本と世界の差
  4. 海外におけるニューロダイバーシティ先進取組企業の例
  5. 日本の発達障害のある方向けの就労支援サービス
  6. ニュース&短文解説
  7. まとめ

ニューロダイバーシティとは

経済産業省のサイトによると……

ニューロダイバーシティ(Neurodiversity、神経多様性)とは、Neuro(脳・神経)とDiversity(多様性)という2つの言葉が組み合わされて生まれた、「脳や神経、それに由来する個人レベルでの様々な特性の違いを多様性と捉えて相互に尊重し、それらの違いを社会の中で活かしていこう」という考え方であり、特に、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、学習障害といった発達障害において生じる現象を、能力の欠如や優劣ではなく、『人間のゲノムの自然で正常な変異』として捉える概念でもあります。

イノベーション創出や生産性向上を促すダイバーシティ経営は、少子高齢化が進む我が国における就労人口の維持のみならず、企業の競争力強化の観点からも不可欠であり、さらなる推進が求められています。この観点から、一定の配慮や支援を提供することで「発達障害のある方に、その特性を活かして自社の戦力となっていただく」ことを目的としたニューロダイバーシティへの取組みは、大いに注目すべき成長戦略として近年関心が高まっております。この概念をさらに発信し、発達障害のある人が持つ特性(発達特性)を活かし活躍いただける社会を目指します。

……ということになっています。

発達障害の人物

歴史上の人物

歴史上、ほとんどの大きなイノベーションや文明的に画期的な新発見は、非定型的な感覚・知性をもった個人の力が関わっていることが多いのです。

モーツァルトやアインシュタインもアスペルガーではなかったかとも言われていますし、抽象絵画の父といわれるカンディンスキーも音楽を色で感じるニューロ・ダイバースな人だったと言われています。日本の宮沢賢治にもそんな共感覚があったそうですし、江戸絵画の伊藤若冲の独創性とニューロダイバースな感覚に関する研究もでています。

現代の人物

米津玄師:高機能自閉症 ASD
深瀬慧(SEKAI NO OWARI):注意欠如多動性障害 ADHD
ウィル・スミス:ADHD LD

俳優、映画プロデューサー、ラッパーとしても活躍をしているウィルスミスさん。「大人になってから発達障害の診断がついた」と公表をしています。子供の頃は「落ち着きがない」などの理由から問題児扱いをされて苦労してきたそう。また、俳優になってからは「台本を覚えるのが大変」といった旨の発言をしていることから、診断としてはADHDやLDの可能性が高いと考えられます。

トム・クルーズ:学習障害 LD

俳優、プロデューサーとして活躍をしているトム・クルーズさんも幼い頃から学習障害に苦しんでいたことは有名な話です。

イーロン・マスク:自閉症スペクトラム ASD (旧アスペルガー症候群)

参考:d-career

日本と世界の差

日本では、発達障害のある方を作業所に押し込めて、単純作業をさせているのが現状です。

「何もできないから」と、決めつけているからでしょうか。

全くの不向きであり、大きな財産をみすみす見逃しているのです。

日本は、島国だからでしょうか、自分と異なる考えを持った人を攻撃する習性があるようです。

ただ、世界では、そんなことはないどころか、異なる考えを持った人を尊重し、認め、サポートする体制が整いつつあります。

海外におけるニューロダイバーシティ先進取組企業の例

IT業界

スペシャリステルネ

2004年、自閉症のある人材をソフトウェアテスターとして雇用し、ソフトウェアテス トコンサルティング業を創業。独自に開発した自閉症者雇用プログラムを他社 に展開。

SAP

2011年より、世界に先駆け自閉症者雇用プログラムであるSAP Autism at Workを開始。インターンシップ型の採用プログラムにより、ソフトウェア開発者を 含め幅広い職域にて雇用を推進。

ヒューレット・パッカードエン タープライズ(HPE)

2014年頃より、自閉症雇用プログラムであるThe dandelion Programを開 始。16週間に及ぶ面接やトレーニングを含む採用プロセスにより、ソフトウェアテ ストエンジニアとして雇用。

マイクロソフト

2015年より、米国において自閉症雇用プログラムであるMicrosoft Autism Hiring Programを開始。従来の採用とは異なり、作業性、チームプロジェクト、 スキル等多面的な評価を行う採用プロセスを設計。

IBM

2017年より、自閉症者雇用プログラムであるIGNITE Autism Spectrum Disorder (ASD)を開始。 ソフトウェア開発、品質保証、設計者などの職 域を中心に雇用。

グーグル

2021年に、自閉症者キャリアプログラムGoogle Cloud’s Autism Career Programを開始。スタンフォード大学との採用プロジェクトにより、採用プロセス の再設計や管理職などのトレーニングを実施。

金融業界

JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー

2015年から自閉症者雇用プログラムをスタート。ソフトウェアエンジニアリング、ア プリ開発、品質保証、技術運用、ビジネス分析に加え、パーソナルバンカーとし ての雇用も実施。

ザ・ゴールドマン・サックス・ グループ・インク

2019年より、自閉症、ADHD等の発達障害者雇用プログラムを強化。メンタ リングや専門能力開発トレーニングを含むインターンシッププログラムの提供を開 始。

製造業界

フォード・モーター・カンパニー

2016年より、自閉症者雇用プログラムFord Inclusive Pilot Programを実施。 同プログラムでは、製品開発部門で自閉症のある方をパイロット的に雇用し、 業務適合性がある場合は本採用に進むスキームを構築。

キャタピラー

2016年より、自閉症研究基金(NFAR)と共に自閉症者に向けたソフトウェ アテスター職のインターンシッププログラムを開発。Autism Learning Centerを 設立し、プログラミング教育の場を提供。

デル

2018年より、自閉症リソースセンターと連携し自閉症者雇用プログラムを開始。 2週間のスキル評価と12週間のインターンを経て、適合性のある参加者はフル タイムの従業員として雇用機会が得られる。

プロクター・アンド ・ギャンブル(P&G)

2019年より、自閉症のある方を対象として採用活動を強化。ソフトウェアソ リューションに関わる業務に加え、フルタイム雇用でのマネージャー職での雇用も 行っている。

製薬業界

ロシュ・ファーマシューティカルズ

臨床開発部門への雇用プログラムNeurodiversity@Work を開始。 スペシャリステルネと共に、発達障害者向けの採用プロセスを設計し、同プログ ラムへ活用。

アステラス ファーマ US

非営利企業Aspiritechと協業。Aspiritechへ発達障害人材によるソフトウェ アテスト、品質保証サービスを依頼。2020年に、Aspiritechによる Neurodiversity Awardを受賞。

日本の発達障害のある方向けの就労支援サービス

日本でも、ようやく、障害児者の就労支援サービスが浸透し始めています。

株式会社LITALICO

株式会社LITALICO

サービス名:LITALICOワークス

LITALICOワークスは障害のある方の「働く」をサポートするサービスです。

企業に就職したい、働きたい、という思いを持っている方に対して、ビジネススキル向上のためのワークショップ、ご本人にマッチした求人開拓、就職後の対人関係サポートまで、一人ひとりの自分らしい働き方実現に向けて、一貫したサービスを提供しています。

障害特性への理解があるスタッフにより、身体障害・知的障害・精神障害のある方に限らず、発達障害や難病のある方など幅広い方に利用いただける環境を整えています。

公式サイト

デコボコベース株式会社

デコボコベース株式会社

サービス名:d-career

発達障害の特性による働きづらさをフォローする「働き続けるためのプログラム」と自分の価値観や適職を見極める「やりがいを見つけるためのカリキュラム」で職場定着率92.2%(2021年度実績)を実現。「“働く”=やりがい×あなたらしさ」を目指すための支援をおこなっています。

公式サイト

ウェルビー株式会社

サービス名:ウェルビー

ウェルビーは『 障害を生かし自分らしく働く 』ことを追求するプロフェッショナルです。

『 障害は”隠す”ものではなく”生かす”ものである』そんな思いのもと、ご利用いただく全ての方と真摯に向き合い続けてきた私たちは、就労支援のプロフェッショナルです。「障害を生かし自分らしく働きたい」その気持ちを私たちが全力で応援します!

公式サイト

ニュース&短文解説

神経回路の多様性が人類を発展へ導く!いざ、脳内ダイバーシティの世界へ

要約

いま、メタバースが話題だが、2007年から仮想空間で自閉スペクトラム症の人たちと交流し、調査・研究をおこなっているニューヨーク在住の日本人社会学者がいる。ニュー・スクール大学大学院教授の池上英子だ。

池上は、仮想世界「セカンドライフ」での彼らとの交流を通して、通常の方法では知り得なかった彼らの内面世界を知ることになる。彼らが生まれながらに視覚、聴覚、触覚といった情報を過剰なまま取り込んでいる強烈な脳内世界をかいま見ることになったのだ。

2017年、池上はその体験を詳細に綴った『ハイパーワールド:共感し合う自閉症アバターたち』(NTT出版)を上梓し、NHKでも現地取材に基づくドキュメンタリーが放送されなど話題となった。そんな池上がいま、日本で多くの人に知ってほしいと思っている概念が「ニューロ・ダイバーシティ」。自閉スペクトラム症などのありかたが脳のひとつの個性であり、神経回路の多様性こそ人類の発展にプラスになるという考え方だ。

アスペルガーの人はシステム化に優れ、分析に秀でている人が多いと言われています。また周囲に同調せず信念・嗜好を貫く態度も、デジタル時代のビジネスと相性が良いのです。90年代〜2000年代、インターネットとコンピューターが社会の隅々に行き渡り、また脳神経科学が急速に発展してきて脳の神経構造の多様性についての理解が広まり、「ニューロ・ダイバーシティ」の考え方が広まりました。

さらに、自閉スペクトラム症の人々を「視覚型」「パターン型」「言語型」などの特性に分類し、それぞれ優位な才能があるにも関わらず、社会的なコミュニケーションが苦手といった様々な特性のせいでの不遇な扱いを懸念し、いま世界は彼らの才能と共に働くことが求められている、と強く述べています。

歴史上、ほとんどの大きなイノベーションや文明的に画期的な新発見は、非定型的な感覚・知性をもった個人の力が関わっていることが多いのです。

もちろん、発達障害の人たちは、高機能自閉症の人に限っても誰もが天才ではありません。ほとんどの人は生まれつき感覚や認知方法が違うため、生活で困難を感じている人々です。しかし、この違い自体は、環境が変われば実は強みになる場合、少なくともその可能性があります。こうしたニューロ・ダイバースな人々とその可能性を排除してしまうことは、社会にとって大きな損失です。

イノベーションが起こる環境について考えるとき、地球にとって生物多様性が大事なように、1)「違い」をそのままリスペクトすること。そして、2)それらが節度を持って交流したり混じりあったり、協同して仕事をしたりする様々な「場」があり、自らとは違う「知」のあり方に触れる機会が多いこと。その2つの側面がとても大事なのではないかと思っています。

私は、渡米当初まったく英語ができず苦労しましたが、日本と異なる文化のなかで「泳ごう」としてもがいた経験が、自分の可能性を思いもかけない方向と深さで確実に広げた、という感覚があります。

さらに自閉スペクトラムの人々との仮想世界での出会いは、文化や言語という違いよりさらに深い、そもそも生まれつき「世界の見え方」が違う人たちとの交流でした。

その経験は、私のこれまでの価値観を揺さぶり、大きく成長させてくれました。アバターを介した仮想空間でなければ、近づく勇気もなければ、経験できなかったことだと思います。

われわれは誰もが自分の生まれついた感覚知覚・認知特性、育った文化環境という色眼鏡を通して世界を見ている。その繭のなかにいれば楽ですが限界があります。

殻を破るには、違う人々と深く交流するしかない──異文化のなかで暮らし、さらに仮想世界で自閉スペクトラム症の人たちと交流する中で、強く感じたことです。

いま、メタバースが話題ですが、さまざまな感覚を持っている人たちに、どのように最適化されて、その人の神経回路に合った情報の発信・受信ができる世界になるのか。つまり当事者の人々の創造性や情報発信を助けるメディアになるか。

もしそれが今のインターネットのように、次世代のインフラストラクチャーになるとすれば、多数派の真ん中の見方だけに最適化したメタバースにはなってほしくない。いろいろな世界の見方をする人たちが、居心地が良い形で交流できる場をつくる可能性を追求してほしい。いまの日本にとっても、そういう「場」をつくれるかどうかが、とても重要になってくるのではないでしょうか。

2022年12月18日:Forbes

コメント

メタバースが、日本人の多様性の助力になるかも知れませんね。

まとめ

ここまで、発達障害に関することが多く記載されていますが、ニューロダイバーシティは、発達障害に限ったことではありません。

人間のNeuro(脳・神経)は、千差万別であり、環境などによっても影響を受けます。

また、発達障害にしても、グレーゾーンというものがあります。つまり、誰しも、発達障害の要素は、多かれ少なかれ持っているのです。結局、どこかで線引きをして、それ以下なら、発達障害と診断されるだけ。

そう考えれば、発達障害と決めつけること自体意味はなく、個々の特性を活かしていけば、世の中がもっと革新的なものになっていくのではないでしょうか。

それが、多様性社会というもの。

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