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【ノーベル賞】スバンテ・ペーボ博士の研究内容:2022年生理学・医学賞

はじめに

2022年、ノーベル生理学・医学賞を受賞した、スバンテ・ペーボ博士の「DNA解析で人類史の見方を塗りかえる」という研究内容について簡単にわかりやすくまとめました。沖縄科学技術大学院大学にも在籍。ネアンデルタール人の遺伝子で、新型コロナの重症化リスクに変化が!

目次

  1. 研究内容の要約
  2. 簡単に説明すると
  3. ニュース記事
  4. TEDの講演
  5. まとめ

研究内容の要約

1.ネアンデルタール人

2010年、3万~4万年前に絶滅した旧人「ネアンデルタール人」の骨から、生命の設計図であるDNAを抽出し、ゲノム(全遺伝情報)を解読することに成功した。その結果、現代人のゲノムにネアンデルタール人の遺伝子が1~4%受け継がれていることが判明。6万~7万年前にアフリカを出た現代人の祖先の集団が、ネアンデルタール人と共存・交雑していたとの見方が広まった。

2.デニソワ人

ロシアで発掘された骨が未知の旧人のものであることを解明し、「デニソワ人」と名づけた。現代人の祖先はデニソワ人とも交雑していたとみられる。

3.コロナ重症化

ペーボ博士は、ネアンデルタール人から受け継がれた遺伝子が、新型コロナウイルスの重症化リスクにも関わっていることを国際的な科学雑誌「ネイチャー」や「アメリカ科学アカデミー紀要」に報告しています。

沖縄科学技術大学院大学によりますと、ペーボ博士の研究チームは、おととし9月、新型コロナの患者3000人以上を対象に分析した結果、重症化リスクを増加させることが確認された遺伝子が、ネアンデルタール人から引き継がれたもので、この遺伝子を持つ人ではリスクが倍増すると、「ネイチャー」に発表しました。

また、去年2月には新型コロナに感染して重症化した患者2200人余りの分析で、同じくネアンデルタール人から引き継がれた、別の遺伝子がある人では、逆に重症化が22%抑えられることを明らかにしたと「アメリカ科学アカデミー紀要」に報告しました。

簡単に説明すると

  1. 現代人は、ネアンデルタール人の遺伝子を1~4%受け継いでいる。
  2. 6万~7万年前にアフリカを出た現代人の祖先の集団が、ネアンデルタール人と共存・交雑していた。
  3. ロシアのデニソワ人とも交雑していた可能性がある。
  4. つまり、現代人は、雑種ということですね。
  5. ネアンデルタール人から引き継いだ、ある遺伝子を持っていると、新型コロナで重症化することを発表。
  6. 同じく、ネアンデルタール人から引き継いだ別の遺伝子があると、重症化を22%抑えられることを報告。
  7. 人類の遺伝子情報と新型コロナを結びつけたところに受賞理由があるのかも知れませんね。
  8. 特定の遺伝子を持っていると、ウイルスで重症化しないことなどが分かり、今後のウイルス対策の一翼を担う研究と言えるでしょう。

ニュース記事

ことしのノーベル生理学・医学賞に「人類の進化」の研究者

ことしのノーベル生理学・医学賞に「人類の進化」の研究者

ことしのノーベル生理学・医学賞の受賞者に、絶滅した人類の遺伝情報を解析する技術を確立し、人類の進化に関する研究で大きな貢献をした、ドイツの研究機関の研究者で、沖縄科学技術大学院大学にも在籍するスバンテ・ペーボ博士が選ばれました。

ペーボ博士は絶滅した人類の遺伝情報を解析する技術を確立し、4万年前のネアンデルタール人の骨に残っていた遺伝情報を詳しく調べて、現代の人類であるホモ・サピエンスと比較しました。その結果、ホモ・サピエンスはネアンデルタール人の遺伝情報の一部を受け継いでいることを突き止め、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人とで種が交わっていた可能性を明らかにしました。

さらに、絶滅した人類の遺伝情報は▼標高の高い土地での生存を有利にしたり、▼ウイルスに対する免疫の反応の仕方に影響したりするなど、いまの私たちの体の仕組みをより深く理解するのにつながっています。

またペーボ博士はそれまで知られていなかった、絶滅した別の系統の人類、「デニソワ人」を発見したほか、「古ゲノム学」という新しい学問分野を切り開くなど、人類の進化の過程を理解する上で大きな貢献を果たしたとしています。

ペーボ博士は、ネアンデルタール人から受け継がれた遺伝子が、新型コロナウイルスの重症化リスクにも関わっていることを国際的な科学雑誌「ネイチャー」や「アメリカ科学アカデミー紀要」に報告しています。

沖縄科学技術大学院大学によりますと、ペーボ博士の研究チームは、おととし9月、新型コロナの患者3000人以上を対象に分析した結果、重症化リスクを増加させることが確認された遺伝子が、ネアンデルタール人から引き継がれたもので、この遺伝子を持つ人ではリスクが倍増すると、「ネイチャー」に発表しました。

また、去年2月には新型コロナに感染して重症化した患者2200人余りの分析で、同じくネアンデルタール人から引き継がれた、別の遺伝子がある人では、逆に重症化が22%抑えられることを明らかにしたと「アメリカ科学アカデミー紀要」に報告しました。

大学のウェブサイトでペーボ博士は「およそ4万年前に絶滅したネアンデルタール人の免疫システムが、現代の私たちに良い意味でも悪い意味でも影響を与えているのは驚くべきことです」とコメントしています。

ノーベル賞の公式ホームページによりますと、これまでに親子2代にわたってノーベル賞を受賞したのは「キュリー夫人」としてその名を知られたマリー・キュリーさん親子など合わせて7組います。

2022年10月3日:NHK

ノーベル生理学・医学賞にスバンテ・ペーボ博士…DNA解析で人類史の見方を塗りかえる

ノーベル生理学・医学賞にスバンテ・ペーボ博士

スウェーデンのカロリンスカ研究所は3日、2022年のノーベル生理学・医学賞を、同国出身で独マックス・プランク進化人類学研究所のスバンテ・ペーボ博士(67)に授与すると発表した。ペーボ氏は、沖縄科学技術大学院大(OIST)の客員教授も務める。人類学にDNA解析の手法を取り入れ、人類進化の歴史に対する見方を大きく塗りかえたことが評価された。

ペーボ氏は10年、3万~4万年前に絶滅した旧人「ネアンデルタール人」の骨から、生命の設計図であるDNAを抽出し、ゲノム(全遺伝情報)を解読することに成功した。その結果、現代人のゲノムにネアンデルタール人の遺伝子が1~4%受け継がれていることが判明。6万~7万年前にアフリカを出た現代人の祖先の集団が、ネアンデルタール人と共存・交雑していたとの見方が広まった。

ペーボ氏はまた、ロシアで発掘された骨が未知の旧人のものであることを解明し、「デニソワ人」と名づけた。現代人の祖先はデニソワ人とも交雑していたとみられる。旧人から受け継いだ遺伝子の中には、新型コロナウイルス感染症の重症化と関係しているものがあることも、突き止めた。

ペーボ氏は20年、独創的な研究成果を上げた科学者らに贈られる「日本国際賞」を受賞し、天皇陛下が今年の授賞式で「現生人類の進化の核心に迫る成果」とたたえられた。ペーボ氏の父親スネ・ベリストローム氏も、1982年にノーベル生理学・医学賞を受賞している。

賞金は1000万スウェーデン・クローナ(約1億3000万円)。授賞式は、賞の創設者アルフレッド・ノーベルの命日の12月10日にストックホルムで開かれる。

2022年10月3日:読売新聞

TEDの講演

DNAが解き明かす我らの内なるネアンデルタール人

遺伝学者スバンテ・ペーボ博士が、国際的な大規模研究の結果から、初期の現生人類がアフリカを旅立った後にネアンデルタール人と交配したという、ゲノムDNA解析による証拠を紹介します。私たちの多くはネアンデルタール人のDNAを持っているのです。また、博士は小指の小骨から新しいヒト属を発見した経緯も説明します。

まとめ

ネアンデルタール人とデニソワ人の骨を調べて、現代人の遺伝子との比較を行い、受け継がれた遺伝子を特定。

交雑していたことを突き止めました。

ネアンデルタール人から受け継がれた遺伝子を持っていると、新型コロナの重症化リスクに影響があることを発見。

今後のウイルス対策に活かされることでしょう。

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