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iPS細胞とES細胞の違い総合案内所
【iPS細胞・ES細胞とは】
  • 「iPS細胞(人工多能性幹細胞、induced pluripotent stem cells)」とは、人の皮膚などの体の細胞を取り出し、3、4種類の遺伝子を導入し、培養を行い、特定の臓器の元となる細胞に分化させる技術。皮膚などの細胞から、様々な臓器を作製することができます。実際には、臓器全体を作るわけではなく、一部を作り、移植して再生を行います。
  • 「ES細胞(胚性幹細胞、embryonic stem cells)」とは、受精卵を培養し、その受精卵が分化し、特定の臓器の元になったところで取り出し、臓器を作製することができるものです。
【iPS細胞とES細胞の違い】
iPS細胞とES細胞の違いは、こちら

iPS細胞の特徴
  • iPS細胞は、遺伝子の導入の時点でウイルスを用いるので、癌化のリスクがあります。マウスを用いた実験では、約20%のマウスが癌化しました。
  • それ故、ウイルスをを用いずにiPS細胞を作り出す実験も行われており、慶應義塾大学医師の福田恵一らのグループや英エディンバラ大学の梶圭介らにより、ウイルスを使わないiPS細胞の作製の報告がなされています。
  • 網膜や皮膚などは比較的早期に実現可能だが、心臓、脳、膵臓等の作製は、実用化に時間がかかります。
ES細胞の特徴
  • ヒトES細胞を使用した再生医療は、倫理的な問題もあり、現在、実現はされていません。
  • ES細胞を得るためには、まず、受精卵を準備しますが、この時点で倫理的問題が発生します。
  • 次に受精卵の分裂を待ちます。受精卵は、2倍、4倍、8倍と卵割を繰り返します。
  • そして、成長した受精卵から、所望の細胞だけを取り出し、培養して臓器の元を作り出します。
ES細胞とiPS細胞の違い
項目 ES細胞 iPS細胞
拒絶反応 あり なし
癌化 わずかにあり 20%が癌化
倫理問題 大いにあり あまりない

【厳選リンク】
ウィキペディア iPS細胞とES細胞について詳説。
比較対応表 iPS細胞とES細胞の比較対応表。
ニュース iPS細胞とES細胞のニュースを紹介。
CIRA 京都大学iPS細胞研究所の公式サイト。
【豆知識】
  1. iPS細胞研究の進展により、ES細胞に関する生命倫理的問題を一歩前進させることができました。
  2. iPS細胞により、拒絶反応の無い再生医療の実現に向けて大きな一歩となりました。
  3. 宗教界からの評価の一例として、ローマ法王庁の生命科学アカデミー所長のスグレッチャは「難病治療につながる技術を受精卵を破壊する過程を経ずに行えることになったことを賞賛する」との趣旨の発表を行いました。
  4. 黄禹錫(当時ソウル大学校教授)は、2005年に除核したヒト未受精卵に患者の体細胞の核を移植することで高効率でオーダーメイド型のクローンntES細胞を樹立したと米国科学雑誌サイエンスに報告し、その後もバイオ立国を目指す韓国政府の強力な支援の元、ヒトES細胞バンクの樹立などのプロジェクトが押し進められて来ました。しかし2005年12月、未受精卵の入手方法を廻る倫理的問題に加え、研究成果そのものが捏造であることが判明しました。この事件によってクローニングによるヒトES細胞の製造が可能という前提で進められていた世界中の研究が頓挫し、数年間の停滞を余儀なくされました。


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