スロースリップとは？特徴と大地震の前兆：東日本大震災の前にも起きていた

はじめに

スロースリップとは？特徴と大地震の前兆：東日本大震災の前にも起きていたについてまとめました。スロースリップとは、プレート境界の一部がゆっくりと滑る現象です。通常の地震よりもはるかに遅い速度で発生するため、「ゆっくり地震」や「ぬるぬる地震」とも呼ばれます。2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震 (M9.0) の前には、2010年11月から2011年2月にかけて、宮城県沖でスロースリップが発生していました。このスロースリップは、本震の震源域の北側で発生し、本震発生の数週間前に最大速度に達しました。

目次

スロースリップとは

スロースリップは、プレート境界の一部がゆっくりと滑る現象です。通常の地震よりもはるかに遅い速度で発生するため、「ゆっくり地震」や「ぬるぬる地震」とも呼ばれます。

発生場所

スロースリップは、海溝などの沈み込み帯でよく見られます。具体的には、日本列島周辺では、南海トラフ、相模トラフ、千島海溝などで発生しています。

発生メカニズム

プレート同士が常にぶつかり合っている沈み込み帯では、プレート境界にひずみが蓄積されます。通常、このひずみが限界に達すると、地震が発生し、ひずみが解放されます。しかし、スロースリップでは、ひずみがゆっくりと解放されます。

影響

スロースリップ自体は、地震波をほとんど発生させないため、直接的な揺れを感じることはほとんどありません。しかし、スロースリップによって周辺のひずみ状態が変化することで、通常の地震が発生しやすくなる可能性があります。

千葉県での地震

2月下旬から千葉県で発生している地震は、スロースリップによって誘発された可能性があります。気象庁は、今後も地震活動に注意を呼びかけています。

スロースリップと地震予知

スロースリップは、巨大地震の前兆となる可能性があると考えられています。しかし、スロースリップが必ず巨大地震に繋がるわけではありません。スロースリップの発生を捉えることで、地震発生の可能性をより高精度に評価できるようになることが期待されています。

スロースリップの特徴

スロースリップには、以下の特徴があります。

1. 発生速度が遅い

通常の地震よりもはるかに遅い速度で発生します。一般的には、数mmから数cm/年程度の速度で滑ります。

2. 揺れを感じない

スロースリップ自体は、地震波をほとんど発生させないため、直接的な揺れを感じることはほとんどありません。

3. 長期間継続する

数ヶ月から数年かけて発生します。

4. 海溝などの沈み込み帯で発生する

プレート境界の一部がゆっくりと滑る現象です。海溝などの沈み込み帯でよく見られます。

5. 周辺のひずみ状態を変化させる

スロースリップによって周辺のひずみ状態が変化することで、通常の地震が発生しやすくなる可能性があります。

6. 巨大地震の前兆となる可能性がある

スロースリップは、巨大地震の前兆となる可能性があると考えられています。しかし、スロースリップが必ず巨大地震に繋がるわけではありません。

7. 観測が難しい

スロースリップは、通常の地震よりもはるかにゆっくりと発生するため、観測が難しい現象です。近年では、GPSやGNSSなどの観測技術の発達により、スロースリップの観測精度が向上しています。

8. 地震予知への応用が期待されている

スロースリップの発生を捉えることで、地震発生の可能性をより高精度に評価できるようになることが期待されています。

過去のスロースリップの事例

過去のスロースリップの事例と、その後、大地震につながった場合の事例は、以下です。

1. 東北地方太平洋沖地震 (2011年)

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震 (M9.0) の前には、2010年11月から2011年2月にかけて、宮城県沖でスロースリップが発生していました。このスロースリップは、本震の震源域の北側で発生し、本震発生の数週間前に最大速度に達しました。

2. 2016年熊本地震

2016年4月14日に発生した熊本地震 (M7.3) の前には、2015年12月から2016年2月にかけて、熊本県阿蘇地方でスロースリップが発生していました。このスロースリップは、本震の震源域の北東側で発生し、本震発生の数日前に最大速度に達しました。

3. 2018年北海道胆振東部地震

2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震 (M6.7) の前には、2018年7月から8月にかけて、北海道胆振地方でスロースリップが発生していました。このスロースリップは、本震の震源域の南側で発生し、本震発生の数週間前に最大速度に達しました。

4. 南海トラフ

南海トラフでは、過去に繰り返し巨大地震が発生しており、近年では2014年から2015年にかけて、紀伊半島沖でスロースリップが発生しています。このスロースリップは、南海トラフの東側で発生しており、今後の巨大地震発生の可能性を高める要因の一つと考えられています。

5. 東海地震

東海地震では、過去に100年〜150年程度の周期で巨大地震が発生しており、近年では2012年から2013年にかけて、駿河湾と遠州灘でスロースリップが発生しています。このスロースリップは、東海地震の震源域の一部で発生しており、今後の巨大地震発生の可能性を高める要因の一つと考えられています。

スロースリップが必ず大地震につながるわけではありませんが、これらの事例のように、スロースリップは巨大地震の前兆となる可能性があると考えられています。

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