電動キックボードの事故が多発しています。自賠責保険とともに、「原付保険」または「ファミリーバイク特約」を契約しましょう。
自賠責保険への加入は、義務です。
それに加えて、ファミリーバイク特約または原付保険に加入した方が良いです。
家族が自動車保険に加入しているのならば、ファミリーバイク特約が吉。
傷害保険にも入るのであれば、原付保険の方が割安。
家族が自動車保険に入っていなければ、原付保険一択。
現状の道路交通法上では「原動機付自転車」相当の車両です。そのため、乗るためには運転免許が必要です。また、ヘルメットの着用が義務付けられており、ナンバープレートも必要です。この点から見ても、子どもが遊ぶための乗り物ではなく、人や物を運ぶ「車両」であることを認識することが必要です。
2022年4月に電動キックボードを免許なしで乗れる道路交通法改正案が可決されました。これにより、最高時速20km/h以下の電動キックボードについては「特定小型原動機付自転車」という新しい分類となり、運転免許なしでも乗れるようになります。さらに、ヘルメットをかぶることも義務ではなく努力義務となります。
実はこの改正法は2年以内を目途に施行とされているので、まだ先の話です。ただ、すでに限定的ではありますが規制緩和されています。現在でもシェアサービスの電動キックボードは「新事業特例制度」によりヘルメットなしで乗れています。
現状では電動キックボードは原動機付自転車相当の扱いなので、自動車や原動機付バイクと同様に自賠責保険(共済)への加入が必須となっています。自賠責保険に加入していなかった場合には罰則があり、①6か月以上の免許停止(反則点数6点)と②1年以下の懲役または50万円以下の罰金、の両方が課せられます。電動キックボードに乗るなら「必ず」自賠責保険に加入しましょう。
電動キックボード用の自賠責保険は原動機付自転車用の自賠責保険でOKです。電動キックボードの販売店や保険代理店ではもちろん、コンビニやインターネットからも加入できます。保険料は保険期間1年で6,910円です(2023年4月現在、沖縄除く)。
ちなみに、改正道路交通法が施行され特定小型原動機付自転車扱いになっても、自賠責保険への加入義務は引き継がれます。「特定小型」とついても原動機付自転車には変わりがないということです。また、引き続き軽自動車税もかかりますので、ナンバープレートも装着する必要があります。
契約期間が長くなれば、保険料が割安になります。
なお、自賠責保険料は、国が定めているため、どこの保険会社・代理店で契約しても、同じ金額です。
自動車を運行中に他人にケガをさせたり、死亡させたりした場合の対人賠償事故を補償します。補償範囲は、迅速かつ公平に保険金等をお支払いするために、国土交通大臣および内閣総理大臣により以下のとおり「支払基準」が定められています。
自賠責保険は交通事故による被害者を救済するために法律で加入を義務付けられた強制保険です。補償内容は被害者死亡時最高3000万円、後遺障害時最高4000万円。一見十分な補償に見えるかもしれませんが、最近の自転車事故でのケースを考えると、最低限と言ってもよいレベルのものです。自賠責保険では補償しきれない高額な賠償に備え、任意保険にも加入しておきましょう。
法改正によって、以下のように変わります。
項目 | 改正前 | 改正後 |
車両種類 | 原動機付自転車 | 最高速度20km/h以下など一定の条件を満たすことで「特定小型原動機付自転車」 |
運転免許 | 原動機付自転車を運転できる免許が必要免許不要 | 免許不要 ※16歳未満は乗車できない |
ナンバープレート | 必須 | 必須 |
自動車税 | 軽自動車税 | 軽自動車税 |
自賠責保険 | 必須 | 必須 |
ヘルメット | 必須(一部例外あり) | 努力義務 |
全国で自転車保険への加入の義務化が進んでいるので、個人賠償責任保険に加入している人が増えています。もしかすると、この個人賠償責任保険に加入していれば十分と考える人もいるかもしれません。実は、個人賠償責任保険の契約内容が記載された約款には「保険金を支払わない場合」の項目の一つに「船舶(ヨット、モーターボートおよびボートを含みます)、飛行機、自動車、自動二輪車(自転車など主動力が人力であるものを除きます)、銃器(玩具として使用する空気銃を除きます)、昇降機の所有、使用または管理に起因する損害賠償責任。」と一般的に書かれています。つまり人力で走るキックボードでの事故は補償の対象でも、電動で動くキックボードは補償対象外となるということ。電動キックボードに乗るなら、別の保険に加入する必要があるのです。
ニュースを見ると電動キックボード用の保険の開発を進めている保険会社があるようですが、現状では販売されていません。そのため、原動機付自転車用の保険(原付保険)か、自動車保険にファミリーバイク特約を付加することが必要になります。原付保険もファミリーバイク特約も対人賠償は無制限で補償されるので、加入すれば補償内容は十分です。
原付保険には保険代理店でも加入できますが、インターネットから加入することもできます。自賠責保険と異なり任意で加入する保険なので、保険会社や補償内容等によって保険料が異なります。複数社の見積もりを取り、比較検討するとよいでしょう。
自動車を保有している人であれば、加入している自動車保険に「ファミリーバイク特約」を付加することで割安に補償を確保できます。ファミリーバイク特約の補償対象は125㏄以下のバイクが対象で電動キックボードも含まれます。何台あっても対象になりますし、他人から借りたバイクや電動キックボードも対象になります。
また、「ファミリー」と名称についているように、自動車保険の記名被保険者以外の家族も補償の対象となります。一般的には配偶者や同居の親族、別居の未婚の子まで範囲となります。
規制緩和されることが決定し、これから利用しやすくなる電動キックボード。手軽に利用できる乗り物なので、近距離での移動に利用する人は増えていくでしょう。一方で、重大な事故も増えていけば、社会問題化する恐れもあります。電動キックボードに乗ることを楽しみたいなら、利用者の責任として自賠責保険への加入はもちろん、任意の保険にも加入するようにしましょう。
ファミリーバイク特約は、自動車保険にセットできる特約で、家族が125cc以下のバイク(原付)などを運転中に事故を起こしてしまった場合に、その事故によって生じた損害賠償や、ご自身のケガなどについて補償します。また、ご乗車するバイクは特定せず、他人のバイク(借用バイクを含む)で事故を起こしても補償の対象となります。
ファミリーバイク特約には2つの種類があります。
自損事故型と人身傷害型です。※人身傷害型は主契約に人身傷害保険が付いている場合にのみ加入できます
この2つは相手に対する補償(対人・対物)は同じですが、バイク運転者自身のケガに対する補償に違いがあります。
自損事故型では、電柱に激突したり、崖から転落したり、信号待ちの車に追突したり、こういった相手がない事故あるいは相手に過失が生じない事故、文字通り「自損事故」を起こしてケガ・死亡・後遺障害を負った場合に保険金が支払われます。※双方に過失が生じる事故で傷害を負った場合は補償の対象外になります
人身傷害型では、自損事故型で対象になる事故に加えて、双方に過失が生じる事故で傷害を負った場合など、バイクの事故で運転者自身がケガ・死亡・後遺障害を負うことになるどんな事故に対しても事故の過失割合に関係なく保険金が支払われます。※過失割合を問わず保険金が支払われるのが人身傷害保険の最大の特徴です。人身傷害保険は東京海上日動が東京海上であった時代に開発した保険で、その後各社が追随し、現在すべての保険会社が採用しています
このように人身傷害型は自損事故型より補償範囲が広いので保険料も高くなります。
保険会社 | 自損事故型 | 人身傷害型 |
ソニー損保 | 年間8,090円 | 年間21,820円 |
おとなの自動車保険(セゾン損保) | 年間6,520円 | 年間18,240円 |
アクサダイレクト | 年間7,300円 | なし |
チューリッヒ | 年間11,020円 | なし |
三井ダイレクト | 年間10,270円 | 年間14,130円 |
イーデザイン損保 | 年間10,540円 | なし |
SBI損保 | 年間7,950円 | 年間21,710円 |
損保ジャパン | 年間9,370円 | 年間29,690円 |
東京海上日動 | 年間9,960円 | 年間24,800円 |
三井住友海上 | 年間11,500円 | 年間38,480円 |
あいおいニッセイ | 年間10,750円 | 年間34,710円 |
JA共済(農協) | 年間4,380円 | なし |
全労済 | 不明 | 年間7,980円 |
ファミリーバイク特約の被保険者(補償の対象になる人)の範囲は以下のとおりです。
全て、対人対物賠償が、無制限です。
保険料は、年間26,580円〜64,720円と幅広いです。
原付保険とファミリーバイク特約との補償の中身を比較してみましょう。
電動キックボードに乗る際は、必ず保険に入りましょう。
自動車保険などに入っているのならば、ファミリーバイク特約が良いでしょう。
ただし、傷害保険もつけるのであれば、最初から原付保険に入った方が、安上がりな場合があります。
家族が自動車保険に入っていなければ、原付保険が良いでしょう。
情報が古かったり、間違っていることなどによる損害の責任は負いかねますので、ご了承ください。
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