量子コンピュータの量子ビットチップ素子の構造について、簡単にわかりやすく解説しました。ここでは、特に、量子ビットをシリコンチップに実装する場合について説明します。
量子コンピュータの量子ビット(ドット)素子には、光を用いるもの、液体分子を用いるもの、超伝導回路を用いるものなどがあります。
ここでは、古典コンピュータに近い、シリコンチップへの量子ビットの実装について解説します。
シリコン基板に酸化膜を皮膜し、その上にアルミニウムの電極や回路を載せてあります。
素材や構造は、思いのほか、普通のICチップと変わらず、MOS技術によって、作成されます。
量子ビット素子を上から見た電子顕微鏡写真です。
G1〜G4及びCの電極は、電子ドットという電子を閉じ込めるための一種の箱になります。
中でも、電極G4は、電子ビットのデータを初期化したり、読み出したりします。
量子ドットという一種の箱であって、電子(青い球で図示)を閉じ込めています。
量子ビットとしてのデータは、この電子の「スピン」によって表現されます。
緑の電極Rは、電子の貯蔵庫を表しています。
先の電子は、この電極から供給されます。
単電子トランジスタ(SET:Single Electron Transistor)という回路を構成しています。
この回路に電流が流れるかどうかを検出して、スピンの観測、つまり、量子ビットのデータ読み出しを行います。
この回路に、交流電流を流すことによって、量子ビットへのデータの書き込みや演算を行います。
チップ全体に、1.4テスラという強力な磁場がかけられています。
量子チップは、熱雑音に弱いため、希釈冷凍器に入れられて、50ミリケルビンという、ほとんど絶対零度の超低温状態に保たれています。
ちなみに、希釈冷凍器の価格は、億単位で、量子コンピュータの値段の高騰の一因になっています。
昔の古典コンピュータと同じようなもので、価格は、どんどん下がっていくでしょう。
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