量子コンピュータの歴史・年表・変遷について図解しました。古典コンピュータから量子コンピュータのこれまでの軌跡をご覧ください。
1959年 リチャード・ファインマンが量子力学の仕組みを計算に持ち込んだ。
1980年 ポール・ベニオフが量子チューリングマシンが理論上可能であることを示す。
1982年 ファイマンが量子力学を使ったコンピュータを提案。
1985年 ドイッチュが量子コンピュータの計算モデル(量子チューリングマシン)を提唱。
1992年 ドイッチュとジョサが量子コンピュータ・アルゴリズムを考案。
1993年 ウメーシュ・ヴァジラニとイーサン・バーンシュタインが万能量子チューリングマシンの アルゴリズムを考案。
1994年 ビーター・ショアが“ショアのアルゴリズム”(因数分解手順)を考案。
1996年 ロブ・グローバーが“グローバーのアルゴリズム”(データ検索)を考案。
2011年 D-Wave社(カナダ)が世界初の商用量子コンピュータD-Wave Oneを発表。
2014年 グーグルがジョン・マーティン(UCSB)と連携し量子コンピュータの独自開発を開始。
2017年 IBMが汎用量子コンピュータシステムIBM Q向け16量子ビット・プロセッサを開発。
2017年 中国の科学研究チームが光量子コンピューターの開発に成功。
2019年 IBMが商用量子コンピューター(名称:IBM Q System One)を開発。
2019年10月23日、グーグルは世界最高速のスーパーコンピューターが1万年かかる計算問題 を量子コンピューター(54量子ビット)は3分20秒で解くことに成功したと発表。
形式 | 代表例 | 年代 | |
古典コンピュータ | ノイマン型 | 通常のコンピュータ | 1946年〜 |
非ノイマン型 | 古典アニーリング | 2015年〜 | |
非古典コンピューター | 量子アニーリング | 現在 | |
非万能量子コンピュータ | NISQ | 開発中 | |
万能量子コンピュータ | エラー耐性量子コンピュータ | 未知 |
現在、コンピュータは、「古典コンピュータ」と「量子コンピュータ」に分類できます。
量子コンピュータには、以下の3つの種類があります。
まず、量子コンピュータの前段階の古典コンピュータについて概説します。
古典コンピュータには、「ノイマン型」と「非ノイマン型」があります。
ノイマン型コンピュータは、「CPU+メモリ」という基本構成をしていて、普通のパソコンなどが、該当します。
非ノイマン型コンピュータは、ニューロモーフィックチップと呼ばれる神経回路を模した構成の回路や、GPU(Graphic Processing Unit)を使った高速化、FPGA(Field Programmable Gate Array)を利用したシステムなどのことで、スマートフォンなどに採用されています。
非ノイマン型コンピュータは、ノイマン型コンピュータに比べて、高速かつ低消費電力を追求して、「特定の問題を高速に解くこと」を目指して開発されています。
量子力学特有の物理状態を利用して動作を行う、またはそれを目指すコンピュータです。
「ゲート型」と「アニーリング型」に分類されます。
ゲート型は、古典コンピュータの「ビット」を「量子ビット」に置き換えたコンピュータです。
1994年に、大きな数の素因数分解を高速に処理するアルゴリズムが発明されると、暗号解読に使えるのではないかと一躍脚光を浴びました。
アニーリング型は、金属の焼きなまし処理とよく似た処理を量子を使って行うもので、自然の法則を活用して、最小のエネルギー状態を探索する量子コンピュータです。
アニーリング型は、1998年に、東工大の西森教授が、理論を提唱して、2010年頃、カナダのD-Wave社が、世界で初めて実装しました。
量子力学特有の物理状態を利用して、万能でない量子計算を行う量子コンピュータです。
例えば、高精度な50〜100量子ビットを有するコンピュータを指します。
「万能でない」というのは、ノイズによって、計算の誤りが発生するという意味です。
ちなみに、現在開発中の超伝導回路の量子コンピューターでは、0.1〜数%のエラーが発生します。
現在開発中の「NISQ(Noisy Intermediate Scale Quantum)」が、ここに分類されます。
万能な量子計算を行う量子コンピュータです。
非万能量子コンピュータから、量子ビット数と精度を飛躍的に高めて、計算途中の誤りを訂正する「エラー耐性」を持っている量子コンピュータのことです。
米グーグルは21日、カリフォルニア州南部にある量子コンピューターの開発拠点を報道陣に公開した。2019年にスーパーコンピューターの能力をしのぐ「量子超越」を達成した研究開発チームが入居する。29年までに技術を完成させ、気候変動など差し迫った難問の解決に役立てることを目指している。
量子コンピューターを覆う容器の中は、宇宙で最も温度が低い場所の一つだ。超電導を起こして量子の信号を検出できるようにするために、最も低温な部分は絶対零度(セ氏マイナス273.15度)に近い。装置を常温から極低温にまで冷却するには数日を要する。
量子コンピューターの世界では、従来型のコンピューターで使われる命令などの仕組みは用意されていない。代わりに楽譜を書くように波形の束をプログラムし、信号を送り込むことで異なる量子ビットを相互作用させ、演算可能な状態を作り出していくのだという。
グーグルは19年、53個の量子ビットを使い、最先端のスーパーコンピューターで約1万年かかる計算を約3分で解いたと発表した。量子コンピューターの開発で競合する米IBMが成果を誇張しているとして物言いをつけるなど、大きな論争を呼んだ。
このとき達成した量子超越は科学界にとっても大きなマイルストーンとなったが、量子コンピューターの研究はまだ黎明(れいめい)期にある。グーグルによると現在の量子ビットは計算結果が不安定なアナログな技術で、従来の技術で例えると真空管の時代とほぼ同じだという。
グーグルの現在の目標は、約1000個の量子ビットを組み合わせることで計算の際に発生する誤りを訂正する機能を持つ「論理量子ビット」を完成させることだ。この段階に達することで、量子コンピューターはようやく「トランジスタの時代を迎える」(ルセロ氏)。29年までに1000個の論理量子ビットを同時に制御することを目指している。
日本経済新聞
かつて真空管のコンピュータが、今のように進化したように、量子コンピュータも進化して、色々なところで利用されるのでしょう。
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