量子コンピュータの種類について、極簡単にわかりやすく概説しました。
現在、コンピュータは、「古典コンピュータ」と「量子コンピュータ」に分類できます。
量子コンピュータには、以下の3つの種類があります。
まず、量子コンピュータの前段階の古典コンピュータについて概説します。
古典コンピュータには、「ノイマン型」と「非ノイマン型」があります。
ノイマン型コンピュータは、「CPU+メモリ」という基本構成をしていて、普通のパソコンなどが、該当します。
非ノイマン型コンピュータは、ニューロモーフィックチップと呼ばれる神経回路を模した構成の回路や、GPU(Graphic Processing Unit)を使った高速化、FPGA(Field Programmable Gate Array)を利用したシステムなどのことで、スマートフォンなどに採用されています。
非ノイマン型コンピュータは、ノイマン型コンピュータに比べて、高速かつ低消費電力を追求して、「特定の問題を高速に解くこと」を目指して開発されています。
量子力学特有の物理状態を利用して動作を行う、またはそれを目指すコンピュータです。
「ゲート型」と「アニーリング型」に分類されます。
ゲート型は、古典コンピュータの「ビット」を「量子ビット」に置き換えたコンピュータです。
1994年に、大きな数の素因数分解を高速に処理するアルゴリズムが発明されると、暗号解読に使えるのではないかと一躍脚光を浴びました。
アニーリング型は、金属の焼きなまし処理とよく似た処理を量子を使って行うもので、自然の法則を活用して、最小のエネルギー状態を探索する量子コンピュータです。
アニーリング型は、1998年に、東工大の西森教授が、理論を提唱して、2010年頃、カナダのD-Wave社が、世界で初めて実装しました。
量子力学特有の物理状態を利用して、万能でない量子計算を行う量子コンピュータです。
例えば、高精度な50〜100量子ビットを有するコンピュータを指します。
「万能でない」というのは、ノイズによって、計算の誤りが発生するという意味です。
ちなみに、現在開発中の超伝導回路の量子コンピューターでは、0.1〜数%のエラーが発生します。
現在開発中の「NISQ(Noisy Intermediate Scale Quantum)」が、ここに分類されます。
万能な量子計算を行う量子コンピュータです。
非万能量子コンピュータから、量子ビット数と精度を飛躍的に高めて、計算途中の誤りを訂正する「エラー耐性」を持っている量子コンピュータのことです。
種類 | 量子特有の物理状態 | 量子の優位性 | 万能性(エラー耐性) |
古典コンピュータ | × | × | × |
非古典コンピュータ | ◯ | × | × |
非万能量子コンピュータ | ◯ | ◯ | × |
万能量子コンピュータ | ◯ | ◯ | ◯ |
形式 | 代表例 | 年代 | |
古典コンピュータ | ノイマン型 | 通常のコンピュータ | 1946年〜 |
非ノイマン型 | 古典アニーリング | 2015年〜 | |
非古典コンピューター | 量子アニーリング | 現在 | |
非万能量子コンピュータ | NISQ | 開発中 | |
万能量子コンピュータ | エラー耐性量子コンピュータ | 未知 |
以下、図だけですが、量子コンピュータの方式についてご紹介します。
項目 | 量子コンピュータ | 古典コンピュータ | ||
方式 | 【汎用型】量子ゲート方式 | 【特化型】イジングモデル方式 | ||
量子アニーリング方式 | レーザーネットワーク方式 | シミュレーション方式(量子インスパイアード方式) | ||
適用領域 | 汎用的な計算を実現 | 組み合わせ最適化問題に特化 | ||
環境 | 極低温/超高真空 | 常温/常圧 | ||
ハード | 超伝導量子回路 | 光パラメトリック発振器 | 従来の半導体 | |
主な推進組織 | IBM/Google / Microsoft/Intel/ Alibaba/Q-Leap | D-Wave /QEC/ NEC/NEDO | NTT/NII(国立情報学研究所) /量子人工脳 | 富士通/日立/ 東芝/NEC |
規模(商用化) | 53ビット (IBM) | 2,048ビット (D-Wave Systems) | 2,000ビット (NTT&NII共同開発) | 8,192ビット以上 |
情報が古かったり、間違っていることなどによる損害の責任は負いかねますので、ご了承ください。
Copyright (C) SUZ45. All Rights Reserved.