自動運転のレベルごとに事故責任の所在も、大きく変わります。
システムがアクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作のいずれかを条件下で部分的に実行します。例えば、自動ブレーキシステムを搭載している「スバル」の車両などが、挙げられます。
【事故責任】:自動運転レベル1では、あくまでも運転の一部支援にとどまるため、事故責任は、運転者にあります。
システムがアクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作の両方を条件下で部分的に実行します。例えば、同一車線自動運転技術を搭載している日産自動車の「セレナ」などが、挙げられます。
【事故責任】:自動運転レベル2でも、事故責任は、運転者にあります。
システムがすべての運転操作を一定の条件下で実行し、作動継続が困難な場合は、システムの介入要求等に運転者が適切に対応します。つまり、アクセルやブレーキ、ハンドルの操作は、ほぼ自動化されて、いわゆる手放し運転ができるようになります。ただし、人が飛び出して来た場合などの緊急時には、運転者が操作することが求められるので、完全な自動運転ではありません。
【事故責任】:自動運転レベル3では、システム主体の運転で、事故責任は、システムにありますが、システムから要請のあった場合には、運転者が対応します。この要請後の事故は、運転者に事故責任があるとされます。ただし、運転者の予知できない不具合で事故が発生した場合には、システム側に責任があります。このタイミングなどに関しては、議論の余地があり、事故責任の所在の判断は、極めて難しくなります。
システムがすべての運転操作及び作動継続が困難な場合への対応を一定の条件下で実行します。
【事故責任】:事故責任の所在は、100%システム側にあります。ここが自動運転レベル4の開発の大きなネックになっていて、実用化は、2020年代後半になりそうです。
システムがすべての運転操作及び作動継続が困難な場合への対応を実行します。
【事故責任】:事故責任の所在は、100%システム側にあります。
自動運転と事故責任と法律の問題点(法文)には、大きく分けて以下の3つが挙げられます。
自動運転の事故が発生した場合、その責任の所在が明確ではありません。現在の法律では、自動車の運行により他人に損害を与えた場合、運転者や運行供用者(自動車の所有者や管理者)が損害賠償責任を負うことになります。しかし、自動運転車の場合には、システムが運転を主体的に行うため、運転者や運行供用者が事故の責任を負うのか、それともシステムの開発者や製造業者が責任を負うのか、明確な基準がありません。
自動運転車の事故が発生した場合、過失の判断が難しいという問題もあります。現在の法律では、損害賠償責任を負うためには、運転者や運行供用者が故意または過失によって他人に損害を与えたことが要件となります。しかし、自動運転車の場合には、システムが複雑な判断を行うため、過失の判断が困難になる可能性があります。
自動運転車の事故が発生した場合、保険制度の適用がどうなるのかも問題となっています。現在の自賠責保険は、自動車の運行により他人に損害を与えた場合に、被害者を保護するための制度です。しかし、自動運転車の場合には、システムが運転を主体的に行うため、自賠責保険の適用が困難になる可能性があります。
これらの問題点を解決するためには、新たな法律や制度の整備が必要となります。国土交通省では、自動運転車の事故責任に関するガイドラインを策定しており、今後は法制化も検討されています。
具体的には、以下の対策が考えられます。
自動運転車の事故が発生した場合、運転者や運行供用者、システムの開発者や製造業者の責任を明確にする規定を設ける。
自動運転システムの機能や性能を明確に規定し、過失の判断を容易にする。
自動運転車の事故に対応した新たな保険制度を創設する。
これらの対策を講じることで、自動運転車の普及を促進し、交通事故の防止に貢献することが期待されます。
2019年5月に、改正道路交通法が可決成立し、同年12月に施行されました。
一定条件下では、システムが運転の主体となり、緊急時には、運転者が対応するレベル3の自動運転で、事故が起きた場合、運転者が、事故責任を追うことが明文化されました。
スマホなどの「ながら運転」が厳罰化されました。しかし、レベル3の自動運転車では、運転者が緊急対応可能であれば、スマホ操作をしても構わないとされました。
2020年4月、改正道路交通法が国内で施行されました。
この改正道路交通法と道路運送車両法により、公道でのレベル3の自動運転走行が解禁となりました。
【第七十一条の四の二の2】
自動運行装置を備えている自動車の運転者が当該自動運行装置を使用して当該自動車を運転する場合において、次の各号のいずれにも該当するときは、当該運転者については、第七十一条第五号の五の規定は、適用しない。
(一) 当該自動車が整備不良車両に該当しないこと。
(二) 当該自動運行装置に係る使用条件を満たしていること。
(三) 当該運転者が、前二号のいずれかに該当しなくなった場合において、直ちに、そのことを認知するとともに、当該自動運行装置以外の当該自動車の装置を確実に操作することができる状態にあること。
レベル | 名称 | 概要 | 運転主体 |
レベル0 | 運転自動化なし | 運転者がすべての運転操作を実行 | 運転者 |
レベル1 | 運転支援車 | システムがアクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作のいずれかを条件下で部分的に実行 | 運転者 |
レベル2 | 運転支援車 | システムがアクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作の両方を条件下で部分的に実行 | 運転者 |
レベル3 | 条件付自動運転車(限定領域) | システムがすべての運転操作を一定の条件下で実行 作動継続が困難な場合は、システムの介入要求等に運転者が適切に対応 | システム(作動継続が困難な場合は運転者) |
レベル4 | 自動運転車(限定領域) | システムがすべての運転操作及び作動継続が困難な場合への対応を一定の条件下で実行 | システム |
レベル5 | 完全自動運転車 | システムがすべての運転操作及び作動継続が困難な場合への対応を条件なしで実行 | システム |
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