2024年までの面白い最新自然科学技術ニュースのまとめサイトです。どんどんアップしていきますので、お楽しみください。
ロシアの裁判所は2日までに、米IT大手グーグルに対し、罰金2澗(かん)ルーブル(約3澗円)を支払うように命じた。澗はゼロが36個並ぶ単位。ロシア国営テレビなど17放送局が動画投稿サイト「ユーチューブ」のチャンネルを停止されたとして訴えていた。ロシア紙RBKなどが報じた。
罰金額はグーグルの親会社アルファベットの時価総額約2兆ドル(約305兆円)をはるかに上回る。
2024年11月2日:日本経済新聞
本当に払うことになったら怖いですね。
2024年8月31日、ノルウェー南西部沖で発見されたシロイルカ「フヴァルディミール」について、ノルウェー警察が9月9日に解剖結果を発表しました。このイルカは、ロシア海軍によってスパイとして訓練された可能性があるとされ、複数の保護団体が「射殺された」と主張していました。しかし、警察の解剖では、イルカの口に刺さった棒が死因であり、銃撃によるものではないと結論されました。イルカの体には表面的な傷があったものの、直接の死因は「人為的行為」ではないとされ、捜査はこれ以上行われない見通しです。
世の中には、他にも、色んなスパイがいそうですね。
インドのカルナータカ州で生物研究者のグループが、道路脇の池で脇腹から小さなキノコの生えたカエルを発見しました。この珍しい事例は専門誌に掲載され、これまでに記録されていないものであり、研究者たちはその原因について困惑しています。カエルは「ゴールデンバック・フロッグ」と呼ばれる種で、2023年6月に発見されましたが、捕獲されなかったため、その後の運命やキノコが生えた原因は不明です。後に菌類学者が写真を通じてキノコを「クヌギタケ」と特定しました。クヌギタケは通常、枯れ木の腐った部分に生えるが、2023年の研究で生きた植物を糧に成長する可能性が示唆されています。専門家は健康なカエルであればキノコに侵されても悪影響を受けない可能性がある一方で、真菌感染のリスクも指摘しています。
ゲノム編集などで、色々な実験がなされる中、微笑ましい光景ですね。
インディアナ大学ブルーミントン校などの研究チームは、人の幹細胞から作製した神経細胞を集積した「培養脳」を用いて、従来のコンピューターよりも少ない電力で計算できる簡易なコンピューターを開発しました。この画期的な研究は、電力消費量の拡大が懸念される現代社会において、革新的な解決策となる可能性を秘めています。
培養脳コンピューターは、電力消費問題の解決だけでなく、AIや医療、教育など様々な分野で革新をもたらす可能性を秘めています。今後の研究開発に注目です。
量子コンピューターよりも将来性があるような気がします。
アメリカの起業家、イーロン・マスク氏は、自身が立ち上げた企業が、患者の脳に小型の機器を埋め込んでコンピューターに直接つなぐ臨床試験を開始したと明らかにしました。体の不自由な人がコンピューターを操作できるようにする技術として注目されています。
初期段階では脳の神経細胞からの信号を検出している結果が出ていると説明しています。 「ニューラリンク」によりますと、小型の機器は去年、FDA=アメリカ食品医薬品局から臨床試験が承認されたとして、全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病、ALS=筋萎縮性側索硬化症などの人を対象に参加者の募集が行われていました。
脳とコンピューターを直接、つなぐ技術は「ブレイン・コンピューター・インターフェース」などと呼ばれ、体の不自由な人が、考えるだけでコンピューターを操作できるようにすることを目指し、大学や企業で研究が進められています。
体の不自由な方が、自由に自分の体を動かせるようになるかも知れませんね。
量子科学技術研究開発機構(QST)などの研究グループは、頭の中に思い浮かべた風景や物体を脳信号から数値化し、生成AIを使って画像として復元する新たな技術を開発したと発表しました。
研究グループは、風景や物体などの画像を実際に見ているときの脳信号とそれらの画像の特徴を数値化したデータをそれぞれ蓄積した上で、脳信号を数値に変換する「翻訳プログラム」を開発しました。
このプログラムを使うと、頭の中に思い浮かべた風景や動物などを脳信号から数値に変換することができ、これをもとに生成AIが修正を繰り返すことで、頭の中に思い浮かべた画像を復元することに成功しました。
頭の中に思い浮かべた「メンタルイメージ」の復元に成功したのは世界でも初めてだということで、QSTの間島慶研究員は「人類はこれまで顕微鏡などを用いて目では見えない世界を見てきたが、心の中には踏み込めていなかった。人類が初めて他人の頭の中をのぞいた成果だ」と話していました。
研究グループでは、今回の研究成果はことばやジェスチャーを使わず脳で意思が伝えられる新たな装置の開発や、幻覚や夢を見る仕組みの解明につながると期待しています。
具体的には、以下のような応用が考えられます。
今後の研究では、画像の精度をさらに向上させ、より多くの人の脳信号を対象に研究を進めていく予定です。
復元できなくするような妨害機器も開発されるかも知れませんね。
イタリアのローマ近郊にあるサンタ・ルチア財団病院は、脳卒中患者の脳機能回復にヒューマノイドロボット「ロビー」の効果を検証する実験を開始した。
ロビーは、イタリアの新興企業オーバーソニックが開発したヒューマノイドロボット。患者と会話したり、色や文字を当てるレクリエーションをしたりする機能を持つ。
同病院では、ロビーとの交流が患者の脳機能にどのような影響を与えるのかを測定・分析する。具体的には、患者の脳活動や認知機能、運動機能などの変化を調べる。
実験は、2023年10月から1年間にわたって実施される。
実験に参加する患者の一人、65歳の男性は「ロビーは、とても話しやすい。会話をすることで、気分転換にもなっている」と話す。
また、同病院の神経内科医は「ロビーは、患者のモチベーションを高める効果も期待できる。脳卒中は、早期の治療とリハビリが重要だが、患者によっては、リハビリを続けることが難しい場合もある。ロビーを活用することで、患者がリハビリを継続しやすくなると考えている」と話している。
今回の実験の結果次第では、ロビーが脳卒中患者の脳機能回復に効果的な治療法として普及する可能性もある。また、他の疾患の治療にも応用できる可能性も期待されている。
人間味のあるロボットなのでしょうね。
人類の天敵を「絶滅」させる――。子孫が繁殖できないよう遺伝子改変した蚊を大量に放つ実験が米国で始まった。
4月、乾燥した蚊の卵が入った白いバケツ大の容器が南部フロリダ州の民家に届いた。容器に水を注ぐと、数日後に蚊が1匹また1匹と飛び立っていった。
この蚊が野生の蚊と交配すると、メスはふ化しても育たず、子孫を残せないオスだけが残る。
2023年9月28日:日本経済新聞
生態系への影響が心配されます。
メキシコ北西部シナロア州で、人工的に雨を降らす「クラウド・シーディング」による干ばつ対策が行われている。
8月中旬、軍事基地の滑走路から小型航空機が飛び立った。機内には、雲の状態を観測する技術者らが同乗していた。
厚い雲の真下を通ると、機内が次第に薄暗くなる。技術者らは「ここだな」と判断し、銀色のタンクにつながる栓をひねった。機体の後端からヨウ化銀が噴射され、雲の中へ飛び込んでいった。
ヨウ化銀は、水蒸気と結びついて氷晶になる性質がある。雲にヨウ化銀を噴射することで、雨を降らしそうな雲を育てて雨粒をつくる仕組みだ。
この日、航空機は1時間半かけて雲を探し、100リットルのヨウ化銀を噴射した。飛行を終えて機体から降りた技術者は、「効果は数時間後にはわかると思う」と話した。
メキシコでは、2019年の干ばつで農作物への被害が甚大となった。政府は、人工降雨を国家的な計画として推進しており、シナロア州では2020年から取り組んでいる。
この日の噴射が、干ばつ対策にどれだけの効果をもたらすのかは未知数だが、メキシコでは人工降雨が、水不足という喫緊の課題の解決に貢献する可能性を秘めている。
人工雨は、色々なところで活用されていますね。
最愛の息子オムリさん(当時25)が事故で亡くなった――。そんな悲報を受けたイスラエル在住のアシェル・シャハルさん(61)と妻イリットさん(58)。「すぐに精子を取り出して!」。深いショックのなかでとっさに選んだ行動が波紋を呼んだ。
息子は未婚だが、精子を凍結して代理母を見つければ孫ができる。孫には息子の面影もあるはずだ。夫婦の心は決まった。
2023年9月26日:日本経済新聞
自分の息子の精子を使って、孫を産んだ女性もいました。
東京パラリンピックに出場し、背泳ぎで2大会連続のメダルを獲得したフランチェスコ・ベッテラさんはイタリアの英雄だ。現在は2024年にスイスで開かれる通称「サイボーグのオリンピック」での連覇に向けて練習を重ねている。義肢の代わりに身につけたのは頭蓋骨を覆うセンサーだ。
2023年9月25日:日本経済新聞
脳で念じて、義肢を動かせるんですね。
ペットの魚がゲームをしながら飼い主の「ニンテンドースイッチ」のストアにログインし、アバターを変更してペイパルのアカウントを設定し、クレジットカードで500円使ってしまった――。日本でそんな珍事が伝えられた。
しかも、その一部始終がリアルタイムでネット中継されていたらしい。
予想外の乗っ取りが展開される様子を視聴者がライブ配信で見守る中、流れたコメントは数千件に上った。ツイッターでも数千人のユーザーが、この出来事を面白がってコメントを書き込んだ。
むてきまるさんはその後、任天堂に連絡を取って事情を説明し、500円の返金を求めたと伝えている。
任天堂はCNNの取材に対し、顧客の秘密を守る必要があるという理由でコメントを避けた。
2023年1月30日:CNNニュース
そういうウイルスも横行しそうですね。
ノートPCのトラックパッドに貼り付けるだけで、テンキーや計算機、ランチャーが使えるようになるトラックパッドカバー「Nums(ナムス)」。
同商品は対応PCのトラックパッドに貼り付けて、セットアップするだけで使用できる。
もうテンキーボードを持ち歩く必要がなくなるだけではなく、充電の必要もない。
同商品の厚みは0.26mm。滑らかな肌触りのため、装着してもトラックパッドの触り心地が変わることがない。貼り付けたまま画面を閉じられるのもポイントだ。
NASAのスペースシャトルにも使われる超薄型のガラス、「アルミノシリケートミネラルガラス」を採用しているので、トラックパッド不使用時は、パッドを保護する役割を果たす。防水・防火機能を持ち、キズにも強い性質だ。手軽に汚れを拭き取ることができて、衛生的に使えるのもよい。
2022年10月22日:IGNITE
テンキーを使っている間は、トラックパッドとして使えるのでしょうか?
「今は世界的に『空飛ぶクルマ(電動垂直離着陸機=eVTOL)』に注目が集まっているが、『こっち』の方がモビリティーとして効率が高く、手軽により遠くへ行ける。投資家が出てくればやりたいんだけどなあ……」
2022年10月21日:日本経済新聞
空飛ぶ船とは、思いつきませんでした。水の抵抗がないので、相当効率が良さそうですね。浮力はありませんが。
全日本空輸(ANA)は3日、機体の表面の一部を「サメ肌」状にして空気抵抗を減らし、燃費の改善を目指す取り組みを始めると発表した。ニコンと航空機向けに共同開発したフィルムを貼り付ける。まず2機で試験的に使用して耐久性を検証し、全機材での使用を検討する。使用燃料の削減を通じて脱炭素化を加速させる。
緑色の塗装を新たに施した「ANA Green Jet(グリーンジェット)」と呼ぶ2機の航空機で実験的に使用する。気流の激しい主翼の付け根付近(右側のみ)と胴体の上面の2カ所で、縦35センチメートル、横45センチメートルの範囲にフィルム6枚を貼り付ける。ANAによるとサメ肌状のフィルムを機体に使用するのは国内航空会社では初めてで、海外では独ルフトハンザが使用した事例がある。
ニコンが持つサメ肌加工(リブレット加工)の技術を航空機に応用した。表面に深さ約10マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルの溝をつくることで空気抵抗を和らげる。機体表面の80%にフィルムを装着した場合には燃費が2%改善し、ANAの全機材で実施すると年間の二酸化炭素(CO2)排出量は30万トン、燃油費は80億円減らせるという。
2022年10月3日:日本経済新聞
以前から、動物などの特徴を活かした製品はありましたが、「サメ肌」は、大ヒットですね。
米航空宇宙局(NASA)は26日(日本時間27日)、無人探査機 DART(ダート)を小惑星に体当たりさせて軌道を変える世界初の実験に挑む。将来地球に衝突する小惑星が現れた際、地球を守る手段となりうるのかを確かめるのが目的だ。
DARTは全長1・9メートルで、長さ8・5メートルの太陽光パネル2枚を持ち、重さは約550キロ・グラム。2021年11月、今回の実験のために米カリフォルニア州から打ち上げられた。
DARTをぶつけるのは、地球から約1100万キロ・メートル離れた位置にある小惑星ディモルフォス(直径約160メートル)だ。ディモルフォスは別の小惑星ディディモスの周囲を約12時間の周期で回っている。DARTを約900万倍の重さのディモルフォスに秒速6・6キロ・メートルでぶつけ、周回軌道を少しだけ内側へ変えられるかを確認する。
天体の衝突から地球を守る取り組みは「プラネタリー・ディフェンス(惑星防衛)」と呼ばれる。NASAによると、地球に近付く小惑星のうち約2200個は、大きさが140メートルを超え、衝突時に深刻な被害が起きかねない「潜在的に危険な小惑星(PHA)」に分類されている。13年には、推定直径約17メートルの小惑星がロシア中部チェリャビンスク州に落下し、衝撃波で約1500人が負傷した。
2022年9月24日:読売新聞
スケールの大きな話ですが、この軌道変化が、他の惑星の軌道に影響を与えて、変な副作用がないことを祈ります。
アメリカのスタートアップ企業「Mojo Vision」が開発を進めている「スマートコンタクトレンズ」です。
大きさは、ソフトコンタクトレンズよりも大きい、直径17ミリメートル。白目の部分まで目を覆うタイプのレンズで、中には、緑色の電子基板が埋め込まれています。
レンズの中央にある六角形の部分には、わずか0.48ミリメートルのディスプレーが配置されています。そこで表示された画像が、網膜に直接映し出されることで、情報を見ることができるのです。小さいので、視界の邪魔にはなりません。レンズには、センサーやバッテリーも内蔵されています。
2022年9月9日:NHK
視覚障害者の方のためでもあるそうです。
日本のメニコンも、開発に参加しているそうです。
今から約6600万年前、地球上の生命の歩みは永遠に変わってしまった。メキシコのユカタン半島の海岸に直径10キロメートルの小惑星が激突したからだ。
大津波が押し寄せ、大地は燃え広がり、岩石の蒸発によって放出されたガスは気候を激しく変動させた。これらの天変地異により、ほとんどの恐竜(非鳥類型の恐竜)を含む全生物種の約75%が絶滅した。
ところが、小惑星の衝突はこれだけではなかったのかもしれない。西アフリカの海岸の砂の層の下に、別の小惑星が衝突した証拠らしきものが隠されていたのだ。
8月17日付けの科学誌「Science Advances」に発表された研究によると、海底の地震探査を行っていた科学者たちが直径8.5キロメートルのクレーターらしき構造物を発見したという。近くの海底火山にちなんで「ナディール」と名付けられたこのクレーターは、直径400メートル以上の小惑星の衝突によって形成されたと考えられ、その形成時期はメキシコ、ユカタン半島の「チクシュルーブ・クレーター」と同時期である可能性がある。
2022年9月5日:日本経済新聞
地球上の生命は、小惑星の衝突で変わったのですね。
それでも、生き残った生命がいたのか、その小惑星に生命が存在していたのか。
海は新薬の宝庫だ。新型コロナにがん、マラリア治療まで、新薬候補物質が海の生物から次々と見つかっている。これまで研究が進んでこなかっただけに、海洋由来の新薬は深刻化する薬剤耐性菌問題への解決策としても有望視されている。
75歳のペドロが新型コロナに感染し、スペインの病院に入院したのは2021年1月のことだ。重度の肺炎を発症した彼に主治医が勧めたのはプリチデプシンだった。ペドロは2サイクルの投薬治療で、肺炎やその他の症状が完治した。
この薬は、スペインの製薬会社ファルママールが海中の岩の斜面に棲息するホヤの仲間から見つけた。ホヤの試料から単離されたプリチデプシンには、がん治療薬と抗ウイルス薬としての2つの可能性が見いだされた。がんについては2018年、オーストラリアが多発性骨髄腫の治療薬として承認した。新型コロナでは入院患者を対象とした最終段階の臨床試験が現在行われており、12月までに完了する予定だ。
2022年8月24日:日本経済新聞
海の中には、地上にない菌などもあるのでしょうか。
危険なレベルの地球温暖化を防ぐには、化石燃料の使用をすぐにやめる必要があるが、それは事実上不可能だ。ゆえに科学者たちは、大気中の炭素を集めて固定する技術も必要だという。
その最たる手段の1つが植物だ。植物は光合成によって毎年数百億トンもの二酸化炭素(CO2)を大気中から除去している。そうした炭素の約半分は植物の根や土壌に貯留され、数百年から数千年にわたって地中にとどまることになる。
では、植物や土壌がもっと炭素を除去するようにできるとしたらどうだろう? CRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)というゲノム編集技術が、それを可能にするかもしれない。この技術は、生命の設計図であるDNAを迅速かつ正確に編集する、画期的な分子生物学ツールだ。
彼らの目標は、CRISPRを用いたゲノム編集で、光合成の効率や土壌中に送り込む炭素の量を高める植物をつくることだ。そうしてゲノム編集されたイネやモロコシ(ソルガム)を世界中に植えれば、大気中から年間10億トン以上のCO2を除去することが期待できるという。
2022年8月8日:日本経済新聞
CRISPR-Cas9は、今後、大きな変化を及ぼすでしょう。
電気刺激を利用して、うつ病や自己免疫疾患などの症状を治療する研究が進んでいる。手術で脳の奥深くに電極を埋め込み、特定のニューロン(神経細胞)を電気で刺激する脳深部刺激療法(DBS)が、てんかんやパーキンソン病に有効であるということは、数十年前から実証されてきた。最近では、同じ方法でほかにも治療できる可能性のある病気が増え、さらに体内からだけでなく体外からの電気刺激でも効果が得られるかもしれないと考える科学者たちもいる。
2020年には、米ニューヨーク州のファインスタイン医学研究所で、交通事故で左手の親指が動かなくなっていたシャロン・ラウディーシさんに、手術なしに体外から電気刺激を与える実験が行われた。クレジットカードほどの大きさのパッチに約100個の電極をつなげたものを、ラウディーシさんの首の後ろの皮膚に貼り付けた。そして、脊髄を伝わって親指まで行く神経に刺激を与えた。ラウディーシさんは、まず頭部に刺激を感じたという。「針の先のような、ごくわずかな振動でした」
効果は最初の数週間で表れ始め、ラウディーシさんは親指を少し動かすことができるようになった。9カ月後、行きつけのネイルサロンでネイリストが爪やすりをかけていたとき、突然左親指に感覚が戻ってきたという。事故以前の状態まで戻ったわけではないが、今では親指を使ってペットボトルを開けることができるようになった。
2022年6月29日:日本経済新聞
同じような技術で、人工視覚はありますが、うつ病などを治すのは、新しいですね。
ロボットとAI=人工知能が試行錯誤しながら、iPS細胞から目の網膜の細胞を作り出す最適な条件を見つけだし、自動で培養まで行う技術を開発したと理化学研究所などのグループが発表しました。
グループでは、AIと人の腕のようなアームを持ったロボットを組み合わせ、AIの指示に従ってロボットが薬剤の濃度や薬剤を注入する速度など、7項目の条件を少しずつ変えながら自動的に培養を行い、試行錯誤しながらAIが最適な手順を探しました。
そして144通りの条件の組み合わせの中から、AIが適切だとした手順で、ロボットが培養を行うとiPS細胞の91%が網膜の細胞に変化したということです。
2022年6月28日:NHK
熟練技術者と同じくらいの精度で作れるそうです。
東京医科歯科大学の清水幹容助教らは、細胞が持つ約2万個の遺伝子のうち、「RAS」と呼ぶ遺伝子を含む3個が変化するだけで多くのがんを生み出す親玉ができる現象を見つけた。
進化で優れた知能を獲得した人類は医療技術が進歩して寿命が延びた結果、がんで死ぬ人が増えた側面もある。
だが希望の光がともる。熊本大学の三浦恭子准教授らが研究するのはアフリカに暮らすハダカデバネズミだ。寿命はマウスの10倍の約30年と長いが、がんになりにくい。発がん物質にさらしても、がんができなかった。長寿が必ずしも悪いわけではないようだ。
iPS細胞を作って調べると、がんを防ぐARF遺伝子が働く一方、増殖に関わる一部の遺伝子が壊れていた。ARF遺伝子の働きが鈍れば細胞の増殖を抑え、がんの発生を防ぐモードに移った。「仕組みが詳しく分かれば、人間の遺伝子の働きを調節してがんを防ぐ薬を作れるかもしれない」
2022年6月11日:日本経済新聞
ゲノム編集で、がんにならない人を作る時代が来るのでしょうか。
空気から電気をつくる究極の蓄電池が近い将来に実現できる見込みが出てきた。その名も空気電池だ。従来のような電極が要らず、重さは既存のリチウムイオン電池の5分の1。韓国や中国勢を交えた開発競争が過熱している。軽さと容量を兼ね備えた蓄電池は、2030年代以降の普及を目指す空飛ぶクルマに欠かせない動力源の一つになる。
電池の研究に詳しいAPB(東京・千代田)の堀江英明・最高経営責任者(CEO)は「車が約1時間飛ぶには、1キログラムあたり450ワット時以上の容量の電池が必要だ」と話す。リチウムイオン電池は、同300ワット時の壁に突き当たる。電池を軽くできれば見かけ上の容量は増えるが、リチウムイオン電池は全体の重さの半分弱を占める電極(正極)が軽量化を阻む。
そこで空気電池の出番だ。大胆に構造を変え、正極の代わりに空気から取り込んだ酸素を使い、リチウム金属でできた電極と組み合わせる。外にある空気がいわば電池の素材だ。正極がなくなったとみなせば、本体の多くをリチウム金属が占める。軽いうえに、リチウムが多くて蓄電容量を増やせる利点がある。
2022年4月16日:日本経済新聞
空気から電気を作るのは、雷の発生メカニズムにも似ているのかも知れませんね。
原木シイタケのほだ木をハンマーでたたくと収量が倍増する――。大分県農林水産研究指導センターは、経験的に知られていたシイタケの増収方法の条件を明らかにした。キノコ(子実体)の発生約2週間前に、ほだ木に散水して10回たたく。県内では温暖化などの影響で冬の発生量が減少しており、センターは生産者所得の改善につなげる狙いだ。
品種「もりの春太」を使った試験では、1月下旬に打木すると1立方メートル当たりの発生量(乾重量)は5・7キロとなり、打木なしの2・4キロから倍増した。直径10センチ、長さ1メートル程度の発生2年目のほだ木を使用。打木前に散水を行い、ハンマーで表裏5回計10回たたいた。木口より樹皮をたたく方が効果が大きかった。ただ、なぜ増えるのか、メカニズムはよく分かっていないという。
2022年2月3日:日本農業新聞
不思議なことがあるものですね。
ほとんど充電のことを気にすることなく使えるというワイヤレスヘッドフォンが、まもなく発売される。スウェーデンのUrbanistaが開発したヘッドフォンは太陽電池を搭載し、実質的に“無限”の再生時間を実現したと謳う。鍵を握るのは、光量が少ない場所での発電に強い「Powerfoyle」という太陽電池だ。
Urbanistaによると、晴れた日に屋外で1時間を過ごせば3時間の再生時間が得られるという。曇っていても1時間ほど外で過ごせば、2時間分の再生時間になる。
環境光での充電に関しては、照明が明るい部屋やオフィスでヘッドフォンを使えばエネルギーを追加し続ける。ヘッドフォンを使用していないときは窓際に1時間ほど置いておけば、さらに1時間の再生時間を得られるはずだと、Urbanistaは説明している。それでもバッテリーのもちが心配なら、750mAhの内蔵バッテリーもちは50時間ある。
2021年4月18日:WIRED
再生可能エネルギーが、生活を一変させる予感がしますね。
東京大学と神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)は、蚊の触角に存在する嗅覚受容体を利用し、呼気中に含まれる代謝物(匂い)を検出できる「バイオハイブリッドセンサ」を開発したと発表した。
40億年という長い歳月をかけて進化してきた生物は、人類の最新技術を持ってしても遠く及ばない機能を実現しており、そして高い性能を備える。たとえば、生物が持つ「嗅覚受容体」は匂い物質やフェロモンを1分子レベルで識別することが可能だ。嗅覚受容体は嗅神経細胞に存在する膜タンパク質で、ヒトなら約400種類を持つ。
今回の蚊の嗅覚受容体は無細胞タンパク質合成系により合成されたが、同様の合成方法を用いて遺伝子を変更することで、異なる嗅覚受容体を得ることが可能だという。今後、共同研究チームでは複数種類の嗅覚受容体を並列化した人工細胞膜に再構成させ、多数の匂い分子を判別できる匂いセンサの開発を進めていく予定だ。これにより複雑な匂いの識別や認識が可能になると考えられるという。感度や分子識別能力で従来技術を凌ぐ匂いセンサを実現できれば、高度な呼気・体臭診断や、環境評価、爆発物検知などの分野で貢献できるものと考えられるとしている。
2021年1月18日:マイナビ
匂いセンサができれば、色々な匂いの再現などもできそうですね。
加齢に伴う体の衰えや病気などの原因の1つとされる「老化細胞」を死滅させることで、体の機能を改善させることに東京大学などのグループがマウスを使った実験で成功したと発表しました。
加齢などにより分裂が止まった細胞は正常に働かなくなって、体の機能の低下や病気を引き起こすとされ「老化細胞」とも呼ばれています。
グループは、この「老化細胞」は「GLS1」というたんぱく質が働かなくなると死滅することを突き止め、年を取ったマウスにこのたんぱく質の働きを止める薬を投与しました。
その結果、実際にマウスの「老化細胞」が死滅し、血糖値の異常や動脈硬化などの症状が改善することが確認できたということです。
2021年1月15日:NHK
記事によると、今後、人でも実験してみるそうです。
新型コロナウイルスに代表されるように、ウイルスは生物に害を与える「病原体」というイメージがある。一面では正しいが、人体に特段の症状を起こさず、普段から共生している様々なウイルスがいることも分かってきた。何らかのきっかけで病気を引き起こすこともあれば、人体に有益な働きをすることもある。
東京大医科学研究所の佐藤佳准教授(ウイルス学)の研究チームは、あらゆる臓器や組織にウイルスが共生し、少なくとも39種類に上ることを明らかにした。解析したのは、事故や心不全など感染症以外で亡くなった547人の臓器などに含まれる遺伝情報を集めた米国のデータベースだ。人や動物に感染する約5600種類のウイルスの遺伝情報と照らし合わせ、脳や心臓、筋肉などに共生するウイルスをあぶり出した。
少数例だが肺や血液にいたGBウイルスCは、エイズウイルスの感染を防ぐことが知られている。ウイルスがなぜ共生しているのかなど、詳しい解明は今後の課題だが、佐藤准教授は「人体に何かいい作用を及ぼすウイルスがいるかも」と期待する。
2020年9月27日:ヨミドクター
もしかしたら、コロナも味方になるような作用があるのかも知れませんね。
病気をスマートフォンアプリで治療する「デジタル薬」が日本で初めて実用化される。国内スタートアップが開発した禁煙治療用アプリが19日、厚生労働省から薬事承認の内定を受けた。患者に応じたアドバイスを自動生成し禁煙行動を促す。開発費が少なく利用も簡単な新たな薬が医療として認められることで医療の効率化が進む。
医療スタートアップのCureApp(キュア・アップ、東京・中央)が開発した。ニコチン依存症を治療するアプリで、通常の医薬品のように医師が患者に処方し、患者がスマホにダウンロードして用いる。
患者が日々の体調やたばこを吸いたい気持ちの強さなどをスマホで入力すると、内容に応じて「ガムをかんでください」「深呼吸をしましょう」などのアドバイスをアルゴリズムを使って表示。アプリによる励ましで禁煙を続けやすくする。
治療用アプリは薬に比べて副作用が少なく、数億~数十億円の費用で開発できる利点がある。従来は1000億円以上を要していた新薬開発のコストや期間を削減できる。
日本でもスタートアップのサスメド(東京・中央)が不眠症の治療用アプリ治験を進めている。アステラス製薬は19年11月に米ウェルドックと提携し、同社の糖尿病治療用アプリを日本やアジアで発売する計画だ。塩野義製薬や大塚製薬も米企業と組み精神疾患向けで開発に乗り出している。
2020年6月19日:日本経済新聞
薬も新時代ですね。
政府は宇宙空間を高速で飛び交う宇宙ごみを、ロボットアームでつかんで取り除く「掃除衛星」の開発に乗り出す。2020年代前半に実験機を打ち上げて技術を確立、新たな宇宙産業として育てていく方針だ。
除去の対象は、打ち上げ時に切り離されたロケットの一部など、大きさ数メートル以上の宇宙ごみ。分解すればさらに多くのごみが生まれる危険性があるためだ。
宇宙ごみはコマのように回転しながら、秒速約8キロ・メートルの高速で地球を周回している。実験機はカメラ画像で回転の様子を把握、最も安全に近付ける方向や姿勢をAIがはじき出し、宇宙ごみにゆっくりと接近する。
2018年8月29日:読売新聞
宇宙ごみは、深刻な問題になってくるでしょうね。
色んな分野で、思わぬ発想の科学技術が誕生しています。
今後、これらの科学技術が実用化されて、さらに暮らしやすい世の中になると良いですね。
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