個別化医療とは、各患者に最適な医療を提供することで、患者や社会との共有価値創造に向けた取り組みのことです。
各人の遺伝子や制御領域にある「SNP(スニップ)」によって、医薬品の効果や副作用などに個人差が生まれることがあります。オーダーメイド医療とは、これらの特性を考慮して、各人に合わせた医薬品を提供することです。具体的には、約20万人分のDNAや血清などをバイオバンクに集めて、SNPと病気、薬の効果、副作用などの解明に取り組んでいます。
現在、がんや動脈硬化などの遺伝子治療の研究がなされています。がんの場合は、がん細胞にがんの抑制遺伝子や免疫を高める遺伝子を組み込んでがんを抑制したり、骨髄細胞に抗がん剤の副作用を抑える遺伝子を組み込んで、抗がん剤の副作用を抑える研究がなされています。将来は、患者の細胞の中に、病気に有効な遺伝子を組み込む治療も行われる可能性があります。
現在、遺伝子組み換え技術を用いて、動物に薬を作らせる研究がなされています。具体的には、羊の胎児の体細胞を採取して、そこにヒトの遺伝子を導入します。続いて、羊の受精卵の核を取り除き、ヒトの遺伝子を組み込んだ体細胞の核を移植します。それを、メスの羊に着床させると、ヒトの遺伝子を持つ羊が誕生し、ヒトの薬となるたんぱく質を含むミルクを作り出します。この羊をクローン技術で大量に増やせば、多くのミルクを得られ、それを抽出・精製して、ヒトの薬を作り出すことができます。
植物にも、薬を作らせる方法が考案されています。例えば、トウモロコシに感染する細菌の遺伝子領域を取り去り、その部分にヒトの薬になるたんぱく質を作る遺伝子を導入してから、トウモロコシの細胞に接触させます。すると、細菌内のヒトの薬を作る有用な遺伝子が、トウモロコシに取り込まれて、核内のDNAに組み込まれます。そうしたトウモロコシを植物工場で大量培養して、薬の成分を取り出して、薬を作る技術もあります。他にも、病気のワクチンやインターフェロンをトウモロコシに作らせる方法や、稲、タバコ、イチゴ、ジャガイモなどで薬を作る研究があります。将来、このような植物製薬工場で、薬が作られる可能性も大いにあります。
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